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夏の養生のおはなし

投稿日:2024.07.29

皆さんは、何で夏を感じますか? 照りつける陽射しでしょうか? 空に浮かぶ入道雲でしょうか?

 

お祭りや花火という方もいらっしゃるでしょうし、すいかやとうもろこしといった食べ物で夏を感じる方もいらっしゃると思います。

 

薬膳は、中国の伝統医学の考えをベースとして、季節や体質に合わせて献立を組み立てるので、季節により主役となる食材が変わりますが、夏の主役は何と言っても「夏野菜」です。今は、夏野菜のトマトやきゅうりも、冬野菜のかぶや白菜も、一年中手に入り季節感が薄れていますが、本来、野菜にはそれぞれ「旬」があります。旬の野菜には、その時期の身体に必要な成分がたくさん含まれているのです。今日はそのいくつかをご紹介します。

 

暑さから身体を守るのはきゅうり、ゴーヤ、ズッキーニなど瓜系の野菜です。身体の熱を冷まし、熱中症も予防してくれます。

 

すいかは、実よりも皮のほうが熱を冷ます力が強いと薬膳では考えられています。赤い実を食べた後の「皮の白い部分」は捨てずに浅漬けやピクルスにして食べましょう。

 

暑さにストレスを感じたり、イライラしてしまう……という方にはトマトやパプリカ、セロリがおすすめです。また、そのタイプの方は、体質的に頭に熱が溜まりやすい方が多く、それがイライラを生んだり熟睡の妨げになるので、寝る時に氷枕で頭を冷やし、頭に溜まった余分な熱を取り除いてあげましょう。

 

夏場に食欲が落ちやすい方には、枝豆やさやいんげんがおすすめです。学びのコラム「梅雨の養生のおはなし」(2023年6月Vol.3)でも書きましたが、「青い豆」は湿度に弱い胃腸の働きを助けてくれる食材です。

 

また、この時期、身体が重く感じたりむくみが気になるという方にも、枝豆やさやいんげんといった「青い豆」がおすすめです。

 

加えておすすめしたいのが、とうもろこしのひげの部分。「実じゃなくてひげ?」と思われるかもしれませんが、薬膳では、とうもろこしのひげに「水をめぐらせる力」があると考えられています。

 

とうもろこしの皮をむいたら、ひげの変色していない部分を取り分け、陰干ししてください。

 

十分に乾燥させたひげを水と一緒に火にかけ、好みの濃さまで煮出せば、お茶の完成です。

 

また、ひげは食べることもできます。私は、ヤングコーンが手に入った時は、ひげを実にくるくると巻きつけて揚げ焼きにします。私の薬膳ごはん会で人気の一品です。

 

ここまで暑さ対策の話をしてきましたが、この時期、クーラーで冷えてしまうという方もいらっしゃると思うので、最後に冷え対策についてお話しします。

 

夏でも冷えが辛いという方は、先ずは衣服で下半身をしっかり守りましょう。サンダルファッションは避け、靴下を履き、インナーウェアを活用しておへそまわりも冷やさないようにしてください。飲み物も氷入りのものは避け、常温〜温かいものを選びましょう。

 

すいかやゴーヤは冷やす力が強いので、一度に食べる量を控えるようにしてください。塩やスパイスをかけると冷やす力が弱まるので、すいかは塩をかけて食べましょう。ゴーヤはカレー炒めなどがおすすめです。

 

他の夏野菜もなるべく加熱した形で食べるのがおすすめです。また、麺類やお刺身は、茗荷や紫蘇といった薬味を多めにすると冷えによる滞りを防げます。

 

体質は一人ひとり違います。身体の声を聞き、自分の身体に必要なものを取り入れて、快適な夏をお過ごしください。

お話しする人

荒井直子

フードコーディネーター/国際中医薬膳師/中医薬膳指導員/薬膳栄養カウンセラー
フードコーディネーターとして、TV、企業Webサイト、雑誌や書籍など幅広く活躍。
薬膳レッスンやごはん会を東京・大阪・宮城など各地で行う。