川渡温泉のおはなし、その2
投稿日:2024.02.18
鳴子温泉でガイドとして暮らしている、齋藤理です。このコラムでは、私が暮らしの中で感じる「鳴子温泉」のおもしろさを、皆さんにお伝えしていきます。
鳴子温泉郷には川渡、東鳴子、鳴子、中山平、鬼首の5つの温泉地があり、「単純温泉」、「塩化物泉」、「炭酸水素塩泉」、「硫酸塩泉」、「含鉄泉」、「酸性泉」、「硫黄泉」の7つの泉質が楽しめます。
前回に引き続き、川渡温泉をご紹介します。川渡温泉では「炭酸水素塩泉」のほか、「硫酸塩泉」、「硫黄泉」と「単純温泉」が楽しめます。
川渡温泉の「硫酸塩泉」は主に「硫酸ナトリウム」です。硫酸ナトリウムは、肌の表面のたんぱく質と結合して膜を形成し、この膜が身体の熱の放散を防いで、入浴後の保温効果を高めます。また、肌に浸透し血流量を増加させることで、細胞の働きが活性化し修復作用が高まることから、あせも、ひび、あかぎれの予防も期待できます。
もう一つの泉質は、「硫黄泉」。硫化水素イオン、チオ硫酸イオン、遊離硫化水素の総量から、「硫黄型」と「硫化水素型」の2つに分類することができ、川渡温泉の「硫黄泉」は、「硫黄型」です。
「硫黄泉」に含まれる硫化水素もまた、肌に浸透し血流量を増加させる効果があります。加えて、その高い抗酸化力から、お肌のくすみの大敵メラニンの生成を抑える働きがあるほか、肌の弾力性を向上させることがわかっています。
「美肌の湯」として効果抜群の「硫黄泉」。刺激が強いので、皮膚の弱い方は、入浴後にさっと身体をシャワーのお湯で流してあげると、お肌のトラブルを未然に防ぐことができますよ。
【参考】栗田,タナツクソン,池田 他(2012). “温泉水(硫黄泉)の効能の可視化(教育的効果)”. 日本温泉科学会. 62古元,曽田,平井,森末,鈴鹿,藤原,川崎(1990). “硫酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム浴の効果”.日本温泉気候物理医学会雑誌.53:133-136
お話しする人
齋藤 理
ガイド/SomeSpice合同会社 代表社員/鳴子温泉もりたびの会 理事/鳴子まちづくり会社 取締役/日本エコツーリズムセンター 理事
ガイドとしてTV、ラジオ、雑誌などで鳴子の魅力を発信。地域の地形や文化を深掘りするツアーを行う。
<保有資格など>
温泉ソムリエマスター/WEA COL(野外指導者)/LNT L2インストラクター(環境倫理)/WMTC WFR(野外救急法)/GSTCProfessional Certificate in Sustainable Tourism(持続可能な観光)